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川路利良

川路利良(かわじ としなが)

明治初期、我が国近代警察の創設に半生を捧ぐ。
二度にわたりフランス等欧州諸国を歴訪し、警察制度を研究。
彼の「聲無キニ聞キ 形無キニ見ル」の精神は現代の警察官に受け継がれる。
川路と彼に従った幾千もの郷土の若者たちによって日本警察の礎が築かれた。
警視庁初代大警視(警視総監)。

写真は鹿児島県警にある像。

明治維新の立役者である薩の西郷と大久保ですが、維新後は征韓論で意を異にするようになります。征韓論に敗れた西郷は鹿児島に下野、私学校を設立し自身は狩猟や農耕をするという生活をしておりましたが、やがて桐野利秋らの爆発を押さえきれなくなり、遂には挙兵。熊本・宮崎・大分などで転戦しますが、鹿児島で最期を迎えます。彼を討った大久保も、翌年には石川県士族島田一郎により討たれ路上に斃れます。

司馬遼太郎氏の長編『翔ぶが如く』では、この二人の主人公に加え、初代警視総監である川路利良がもうひとりの主人公として登場します。物語の中では、仏に渡り警察機構を視察する時期に登場し、西南戦争後再び仏に赴きますが病となり、滞在ほどなく帰国の途につき人事不省のうちに息を引き取ってその生涯は閉じられます。

明治10年、西南戦争勃発のきっかけとなった私学校生徒による火薬庫襲撃事件は、川路が鹿児島に送り込んだ密偵が、西郷暗殺のための刺客だとの疑いが大きく起因しておりますし、西南戦争では征討別働第三旅団司令長官となり、警視隊の指揮にも当りました。